遊郭に関わりのある人々

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遊郭に関わりのある人々【楼主編】

遊郭ではたくさんの人たちが働いています。花魁については多くの方がご存知かとは思いますが、遊郭というもの自体が一つの大きなビジネス。雇う人がいて、雇われる人がいる。買う人がいて、買われる人がいるのです。

まずは、遊郭で一番偉い人、楼主(ろうしゅ)をご紹介します。遊郭は2階建て以上の建物が多く、2階がある建物を「楼」と呼んだことから、その主人=「楼主」と言われていました。当時、2階建ての建物といえば、遊郭か旅館のみだったようです。楼主とはいわゆる経営者で、人員の調整や、経営方針等を決めます。つまり、楼主の手腕ひとつで、その遊郭が流行る事もあれば、店を閉めざるを得ない状況になることもあるのです。かなりの経営手腕と管理能力が問われる楼主ですが、中にはかなりの教養をもった人たちもいたようで、何にお金を使い、何を節約するか。有名な楼主の中には、お店を開いたとき、女郎のごはんを節約し、おかずは常に安いカボチャばかりだったとか。しかし、節約ばかりで女郎に対し興味がなかったわけではなく、年末などのイベント時には着物を全員にプレゼントしたりと、働き手の意欲も削がないように気を配っていたようです。ただ、楼主は別名「忘八(ぼうはち)」とも言われ、「仁・義・礼・智・信・孝・悌・忠」の8つの「徳」を忘れたものとされていました。

花魁体験

とある楼主が遊郭を開く為に、ある物件を売り手から買ったのですが、いざ契約となると持ち主から、「遊郭の楼主には売れない。」と拒まれたそうです。楼主は納得がいかず、役所へ訴えたそうですが、人を売り買いするような輩には売れないと非難されたのです。このように人格的な部分も含めると吉原の楼主の社会的地位は低かったのです。

ただ、遊郭にお世話になっていた役人や町人は多く、時代劇で見た事があるような、様々な人たちの思惑が行き交う場所だったのかもしれません。

遊郭に関わりのある人々【内儀・若い衆編】

花魁体験

遊郭ではたくさんの人たちが働いています。前回、大黒柱的存在として、楼主編をお届けしましたが、楼主が遊郭の1階に鎮座する存在だとすると、内儀(ないぎ)や若い衆(わかいし)は遊郭の全体をメインとして役割分担しながら、働いていました。

花魁体験

内儀(ないぎ)とは、楼主の奥さんを指し、たいていはその見世の遊女あがりか、裕福な商人の娘がなることが多かったそうです。オーナーの奥さんとして、遊女の中では一番上に立つ女性だっただけに、実質的な最高権力者であったことも多いそうです。次に若い衆(わかいし)とは、遊郭で働く男のことを指し、若くなくても若い衆と呼ばれるそうです。年齢の事を意味しているのではなく、役職の名前のようなものですね。主な仕事内容は、接客対応する男性の事を若い衆や若い者と呼びました。彼らの仕事は多岐にわたります。例えば見世を取り仕切る番頭、2階を采配する廻し方、妓楼の入り口の台に座って見張りや呼び込みをする牛太郎(妓夫)、客の履物を預かり下足札をつけて下駄箱にしまう下足番、花魁道中の際に先頭を歩く金棒引き、花魁に傘を差す傘差し、花魁に肩を貸す肩貸しの男衆など、本当に多くの役割があったようです。やはり、女の世界ではありますが、男手が無ければ成り立たない部分もあったのでしょう。

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